ボストンのメリットの一つとして、近くにハーバードやMITなどの有名な大学があり、授業をとって単位交換(一定の制限あり)したり、各種イベントに参加することができることがあるかと思う。私も、ハーバードのEnergy SymposiumとSocial Enterprise Conference、MITのAsia Business Conferenceなどに出席した。
申し込み方法
10月くらいに、Sociallistというフレッチャーのメーリングリストで、トレックの情報が紹介される。Sociallistは、イベント情報から売ります、書います、探してます、などのあらゆる情報がメールでくるので、情報を見逃さないためにも、アジアリーダーシップトレックのHPを確認しておくことをお勧めする。
アジアトレックは、冬と夏にあり、締め切りは、夏のトレックでも11月という早めの締め切りになっている。私は、うっかり締め切りを見逃して、1月に応募したが、Waiting listに入れるからという連絡がきて、しばらくして参加できるという連絡がきた。
オンラインで聞かれた主な質問は以下のとおり。
・トレックに期待すること、参加する目的は何か。
・現在のフォーマル、インフォーマルなリーダシップの経験。
・自分の持っているスキル等を通じて、どのようにトレックに貢献できるか。
アジアトレックは、Public Serviceの目的もあるので、この他、TEDトークをやりたいか、ワークショップに(パネリストとして)参加したいかなども聞かれる。また各国を訪問する際の訪問先の紹介などをするカントリーリーダーをやりたいか、広報活動をやりたいか、トレックに関する本の執筆をやりたいかと言ったことも聞かれる。こういった質問に関しては、実際はあとで変更することも可能だった。
トレックまでには、3回のInfo sessionがあり、訪問先の説明や、それぞれの役割について説明があった。参加はマストと言いつつ、参加できない人がちらほらいて、結局はトレック開始後にいろいろと調整することになった。
参加してよかったこと
アジア各国の現状を多角的に理解する。
格差問題を知る
一見、豊かそうな香港でも貧困の格差は深刻である。実際130万人もの人が貧困であると報告されており、ケージホームと言われるとても小さいスペースに住んでいる人もいる。こういった社会問題に関しては、多くのNGOが活躍していると言っていた。また、トレック中に香港に在住している友達に会うことができたのだが、その友人の旦那さんももとはあまり裕福ではない家庭の出身であったが、今はパイロットとして活躍している。企業側でも香港のパイロットを増やそうという取り組みがあるようで、一部の業界ではあるかもしれないが、貧困家庭でもチャレンジする機会を与えられているようだ。
ウランバートルに人口が流入しているモンゴルでは、貧困問題が環境汚染も引き起こしていた。ゲル地区と呼ばれる地域に、ウランバートルの人口の2/3が住んでいるが、冬になると石炭で暖をとるため大気汚染が起こる。私も、実際冬のモンゴルには行ったことがあるが、外に出ると空気の悪さを感じることができた。裕福な人たちはこの大気汚染を避け、反対側に立つ高層マンションに暮らしているとモンゴル人が説明してくれた。
モンゴルの街並み。奥に見えるのがゲル地区。 |
各国の若者との交流
トレック中は、ほとんどの国でリーダシップカンファレンスがあり、その国の大学生や高校生と交流することができた。シャイな学生も多かったが、語学力もあり、米国の大学に行きたいという希望を持っている学生も多く、真剣にアドバイスを聞いてくれた。
リーダーシップカンファレンスでは、自分のプレゼンに加えて、ワークショップ、キャリアメンタリング、キャリアディベロップメントの計5つの出番があった。まだまだ若いつもりでいたが、自分も一定のキャリアを積んできて、人に教えられることがあるんだとあらためて再確認するとともに、人に教えることで自分もたくさんのことを学ぶことができたように思う。
ワークショップでは、Woman and Leadershipというワークショップを開いたのだが、どの国でも活発に議論が行われた。香港では、耳が聞こえない女の子が、手話通訳の人を連れて参加してくれて、 障害者であるがゆえの問題を提起してくれ、女性だけでなく、障害者も含めて、多様な社会を作っていくことが大事だという話になった。ワークショップを通じて、自分もあらためて考えさせられることが多かったし、参加者や一緒にパネラーとなったトレッカーからも学んだことが多かった。
リーダシップを学ぶ。
今回のトレックでは、計32名が参加したが、一緒に参加したトレッカーは、ハーバードの現役生か卒業生が多く、ケネディースクール、教育学大学院、HBSなどから参加していた。フレッチャーは、卒業生も含めると計4人だった。
皆、性格も様々だったが、プレゼンは内容ややり方を含めて勉強になったし、トレックの途中で、グループの決まりを再確認したり、トレックがよりよいものになるようにいろいろと提案したりしていて、とても自主的に動いていたように思う。
自分のワークショップがない時には、他のトレッカーのワークショップを聞きにいったが、皆プロフェッショナルとして堂々とわかりやすく説明していた。聴衆の巻き込み方など勉強になる部分も多かった。
グループなので、揉め事も少しありはしたが、様々な形のリーダシップを見ることができたことは勉強になった。トレックが終わった後も、再度ボストンで会ったり、ネットワークの拡大という点でもよかったと思う。
よくなかったこと
突然の変更
事前に聞いてはいたが、やはり多くの人数、多くの調整があると仕切る側もそれなりに大変であり、
disorganizedな部分がでてくる。訪問先に関して、当初ベトナムに行く予定だったのに、いきなり韓国に変更になったという連絡がきて、参加者から不満の声が上がった。
また、私が予定していたプレゼンは、当初60分と言われたが、直前に15分にしろと言われて困った。聴衆についても、何度か確認していたが、結局は自分のテーマに関心がなさそうな分野の人たちで、ほとんど最初の概要だけ説明して、詳細を省いたプレゼンになった。臨機応変に対応する必要もあるとは思うが、もう少し、事前に情報を与えてもらいたかったというのが正直なところである。
体調管理
訪問先も多く、特に、ソウルに着くまでは、とても暑い国が多かったので体力が消耗された。どの国も交通渋滞がひどく、暑い中を次の訪問先まで歩いていかなくてはならないこともあった。また、食あたりなどで体調を崩す人が何人かでた。体調は自分で様子をみつつ、しっかり休養もとりながら、参加すべきかと思う。そうでないと自分が行きたかった訪問先に行けなくなったり、参加できても集中できないといったことがおきてしまう。
訪問したことや、自分が学んだことを全部書こうと思うと書ききれないが、総じて、参加してとてもよかったと思っている。訪問先や一緒に参加したメンバーにもよるかもしれないが、これまでとは違う視点でアジア各国について学べ、リーダーシップやチームワークといったソフトスキルについてもいろいろと学ぶことができた。
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